幻覚

泣き顔でスマイル擦り切れてシャイン踊るならレイン

君が靴の底を鳴らす音を覚えてる。酔っ払って外国人に絡んでいるのを後ろからヒヤヒヤしながら見てた。冬の日差しの中で並んだ少し汚いラーメン屋。電車に乗って横並びに座ってた。ふたりで見上げたスカイツリーには登らなかった。イルミネーションを見ることなく横切った。目の前の君が限りなく遠くにいた居酒屋の席。君はわたしより他の人をよく見てた。絶望の井の頭線。去り際のパチンコ屋。君が去った翌日に雪が降った。君の嘘を信じたかった。君のいる場所にはもう近づいていない。