幻覚

泣き顔でスマイル擦り切れてシャイン踊るならレイン

 

 

 

実家には犬がいる。

奴は朝起きて昼ごはんの前と昼ごはんの後に家の至るところでゴロゴロと腹を出して寝ている。

昼の光が差す窓辺でゴロゴロしている時もたまにある。

奴はわたしの部屋にも勝手に入り、転がるだけ転がっているのだが、思い切って自分も一緒にゴロゴロし、「ゔー」と唸ると、奴もオウム返しの如く、「ゔー」と若干笑いながら唸ってくるし、奴は布団にくるまりながら誰に対してかはわからないが、そうして自分の知能が低くなってゆくことを実感しながら、私は時折彼の自由さと不自由さを憂う。

放置しておけばどこにでも行ってしまいそうだが、彼はどこにも行けない奴だ。社会システムがそうさせている。